
「こんなおいしくないメロン食べられるか!スイカでも食べてる方がましだ!」
メロンを作り始めて10年目のころ。そろそろメロン作りに慣れてきたころ、お客様からいただいた言葉でした。
それまで、自分たちが作ったメロンは、そこそこおいしいものだと思い込んでいたのです。以後どうやったらおいしいメロンが作れるのか、毎年、毎年、試行錯誤を続ける年月が過ぎていきました。
天候が良かろうが悪かろうが、そこそこおいしいメロンはどうやったらできるのか?
私達の作っている場所は、赤土で、粘土質です。作物を作るにはあまりよい土ではありません。水はけも悪く、また、一度カチンカチンになれば、メロンの根に必要な水も空気も入っていけません。また、丹後は晴天日数(日照)が少なく、湿度も高く、とてもメロン作りに最適な場所ではありません。
しかしながら冬場は、この天候を味方にできます。12から2月は、ほとんど雨か雪(90日中70日ほど雨か雪)。この時期、土を直接雪に当てることで、残った余分な肥料分を洗い流し、害虫の発生を抑えることができるのです。このため、冬季はハウスのビニールを全棟取り外します。
そんな丹後で、私どもがハウスを建て、園芸農業を始めたのが20年前。
初めて教えてくれた種苗会社の先生は、何も知らない私どもに、「水をやるな、水をやるな」。水をやらずにできたメロンは、出荷できないような小さなものでした。どんなにおいしくても、小さくて外観も良くないものは、市場では安値にしかなりませんので、農業で生活するのは難しくなります。しかし、その味は、一度口にすると、忘れることのできないものでした。
私どもは、大きなメロン(3L、4L)を、お客様に勧めません。
水と湿度が多ければ、大きなメロンを作ることはできます。お客様にも、「立派なメロンですね」と言って喜ばれます。しかしながら、それはあまりおいしいと言えるものではありません。
「甘くてとろけるような味」。本当においしいメロンは、言葉では言い表せない、上品さとおいしさを持っています。一度それを口にすると、二度と忘れることはできないでしょう。
毎年、作る条件は変わります。しかし、いつもおいしいといわれ続けられるメロンを作りたいと、今年も挑戦し続けます。
2015年1月
アクセス
京都府京丹後市網野町島津3023
京都縦貫自動車道 与謝天橋立ICから、車で40分
播但連絡有料道路 和田山JCから、車で110分
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